SWEP の All-Stainless BPHE を使用した板金向けレーザー切断機の冷却

 

事例の詳細

この特定のレーザー切断事例の初期段階における主要課題は、先のサプライヤーが提供した銅ろう付け式熱交換器の腐食による蒸発器の漏れでした。SWEP は途中介入し、オールステンレス製熱交換器を代わりに提供することで、Glen Dimplex Thermal Solutions （GDTS）がこの主な障壁を乗り越えるのを支援しました。

板金向けレーザー切断機の冷却は、この事例における主要用途です。このため、GDTS は処理工程からの熱遮断の主な手段として、冷蔵と循環水を使用したクローズドループの冷却ソリューションを製品に提供するべく ＯEM のレーザー切断インテグレーターとパートナーシップを組みました。

冷却による精密な温度制御は、ビーム切断の完全性と精度を維持する上で極めて重要です。これによりレーザーは切断作業中の非常に厳しい精度を維持できるようになります。この処理工程中のレーザー共振器や光学および電子機器が生み出す廃熱量はかなりのものになるため、制御された形でこれを遮断する必要があります。熱遮断の主な手段は、レーザーの冷却プレートを通ってチラーへと移動する脱イオン水によりもたらされます。脱イオン水は次にろう付け式プレート熱交換器（BPHE）により冷却され、その後冷蔵サーキットにて冷却されます。脱イオン水を主な冷媒として使用することは極めて重要です。なぜなら、これにより内部漏洩が万が一起こった場合でも、重要な電子および電気部品がショートするのを防げるためです。

チラーはレーザー切断作業のエンドユーザーが使用する機器一式の不可欠な部分であるため、チラーの信頼性は品質の高い切断を確かなものにし、コスト高となるダウンタイムを防ぐ上で鍵を握っています。チラーは、エンドユーザーの最低限のフロアスペース要件により、OEMのターンキーソリューションの市場性を改善するための厳格なフットプリント制限を満たすためにも必要なものです。こうした2つの主要要因から、この用途のチラー向けには最終的にBPHEが導入されることになりました。BPHEは比表面積が高く、極めてコンパクトであり、効率的な熱伝達を実現すると同時に必要なスペースは最小限で、チラーの容量とスペースを減少させることができます。銅はBPHEのろう付け材料として主に使用されていますが、ステンレススチール製のろう付け材料も、代わりに広く使用されています。これは、銅腐食を起こしやすい脱イオン水に対し不浸透性を提供することから、非常に重要です。その他のオールステンレス製熱交換器の種類と比較し、BPHEは同じ堅牢性を低い総所有コストで提供し、このようなコストセンシティブのOEMアプリケーションにおいては鍵となります。

Q80ASx60 SWEP BPHEを示す、レーザーチラーの3-D CADモデルのスクリーンショット

SWEP BPHE技術を選ぶ理由？

GDTS のミシガン州カラマズーで生産されるチラーの大部分に、すでに別の製造業者によるBPHEが過去に使用されていましたが、オプションとサポートを欠いていました。これによりBPHEのサイズは過大になり、多くのOEMアプリケーションに多大のコストを課するようになりました。このOEMパートナーとの商機は2016年に訪れました。その頃、SWEPは当初GDTSに接触し、同社の主要BPHEサプライヤーとなるためパートナーシップを組もうとしました。当時、GDTSにはOEMチラーサプライヤーを取り替えるための熱交換器の設計カテゴリーにおける最適化ソリューションが欠如していました。GDTSはSWEPとの取引経験がまったくなかったため、SWEPのセールスおよびエンジニアリングチームによる幅広いオプション（さまざまな種類のろう付け材料と多様な実行方法）、詳しい選定ガイダンス（SWEPの製品選定ソフトウェア SSPによる）および技術サポートに、非常な好印象を持ち、結果的に極めて魅力的な価値提案へと結実しました。

前述したように、精密な温度制御はレーザーの精度を維持する上で鍵となります。ホットガスバイパスを導入することでこれを実現したチラーでは、圧縮機から吐出される熱い冷媒を制御した形で直接サーキットの蒸発器へと送り込みます。この事例ではBPHEがそれに当たります。これにより、蒸発器における過剰な冷却が精密に調整され、冷媒温度に関する厳しい精度が確保されます。従来、ホットガスは絞り装置（温度自動膨張弁など）の冷たい冷媒のダウンストリームと融合してから蒸発器に入り、2つの流れが均質的に融合するためには追加の配管と十分な長さが必要とされました。これは吸込液体分配に影響を与えずに、分配ポートへとホットガスを送り込むのを可能にするSWEP独自のQ-パイプ技術により達成されます。 SWEP は GDTS と密に協力することで、このホットガスストリームを直接 BPHE に統合する方法を導入し、さらに配管部品と長さの削減を実現すると共に、同等の機能性も提供しています。

エアフィルターが排除されたレーザーチラー

SWEP の All-Stainless 製品群は、課題への効率的ソリューションを提供します

GDTS が以前のサプライヤーのチラーで直面していた主な問題は、蒸発器の漏洩でした。コストに制限があることから、以前のチラー製造業者は、オールステンレススチールのBPHEではなく、標準的な銅ろう付け材による BPHE を使用し始めました。銅のろう付け材による BPHE は脱イオン水の腐食に耐えることができませんでした。長期にわたり曝された後に、これらの BPHE は冷媒と水チャネルの間に小さい穴による漏れを生じるようになり、チラーとレーザー装置の双方に交差汚染と非常にコスト高な修理を招くことになり、顧客も重大なダウンタイムを被りました。

この問題は、顧客の重大な痛手であるとして GDTS により述べられ、その内容が SWEP に伝えられました。脱イオン水の導電性レベルは、材質の適合性の観点から SWEP により徹底的に評価され、オールステンレススチールのろう付け材によるBPHEが必要であるとの決定に至りました。SWEP の All-Stainless™ 製品は、100%ステンレススチール構成部品を要求するシステムおよび高温用途のシステム向けに開発されています。これらは、銅腐食性のある液体（例えばアンモニア）または銅やニッケルの汚染回避が必須の精密用途に使用できます。SWEP独自の処理技術により、機械的強度と比較して材料の使用量を最小限に抑えたコンパクトな製品が可能になっています。All-Stainless 製品範囲を追加することで、SWEP はその製品品揃えを拡大し、その他の競合技術にもさらに挑戦できるようになりました。この特別なケースでは、SWEP は総所有コストの観点から、依然実行可能な必須材料によるパッケージを何とか提供することができました。

SWEP Q80ASx60 BPHEの実際の取り付け（絶縁済み）

現在、OEM レーザー切断インテグレーター向けに設計されたチラーには、何百もの SWEP BPHEが 備わっています。それらは、大型の3シフト、年中無休のオペレーションから小規模ビジネスまで様々な機械店と製作者により米国全土で使用されています。現場におけるすべてのBPHEは、設計された状態とさほど変更なしに、問題なく稼働しています。漏れのある BPHE、交差汚染、過剰なダウンタイムは、SWEP の BPHE にとっては過去のものとなっています。 これにより、GDTS と OEM レーザー切断インテグレーターとの関係は、とても頼りにできるサプライヤーであることを実証したことから、一層強固なものになりました。SWEP の技術チームはアプリケーションの要件に適した BPHE 選定において細部まで行き届き、かつ正確であること、同時に OEM プロジェクトにとって費用効果の高いソリューションを提供することに気を配っていることを実証しました。

「私たちは長年にわたる、特にこのプロジェクトにおいて SWEP チームが費やした時間と献身ぶりに誠に感銘を受けています。 All-Stainless BPHE の特化した製品範囲を供給することで、SWEP チームは前進のための持続可能なソリューションを提供し、継続中の問題に対処するのを支援してくれました。」Sean Weera、Glen Dimplex 研究開発部リードエンジニア。

SWEP と Glen Dimplex は、この先長きにわたり、BPHE が非常に効率的なソリューションを提供できるアプリケーションにおいて、引き続き協力していくことを楽しみにしています。

_________________________________________________________________

 

 

Glen Dimplexについて

Glen Dimplex Thermal Solutions (GDTS) は、空冷チラーと水冷チラーの製造会社です。GDTS はアイルランドの Glen Dimplex Group のメンバー企業です。Glen Dimplex Group は家電製品、冷却、通気、再生可能エネルギーのソリューションにおいてかなりのグローバル市場におけるポジションを有しています。

半世紀を超えて、国際事業を展開する中、Glen Dimplexは堅固なグローバル事業の評判を確立し、そのブランド、製品、社員により顧客の信頼を得ています。トップブランドと低カーボン技術のダイナミックなポートフォリオを有する Glen Dimplex Group は、将来の市場の課題に応える上で戦略的に恵まれたポジションにあります。